iPad修理コラム
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突然、つかなくなったiPadの画面。強制再起動でも直らない時は…分解して点検が必要です。
最終更新日2023.03.03
作成日2023.03.03
iPad(7gen)の液晶が映らない...?
![](https://iphone-shuuri.jp/report/wp-content/uploads/2023/03/IMG_0998-1024x768.jpg)
日々iPadの修理に追われている秋葉原店ですが…
ここの所でiPadの液晶表示が出来ないという御相談が増えてきました。
単に「iPad」といってもモデルは複数あり、当店で対応している機種だけでも大凡30モデル
多種多様なiPadが、この世に存在しています。
今回は、その中でも一番の普及機であるスタンダードモデルiPadの依頼を受け付けました。
キッカケもなく突然の故障?
![](https://iphone-shuuri.jp/report/wp-content/uploads/2023/03/20230303040231-1024x768.jpeg)
お客様から伺う限り「コンテンツ閲覧をしていたら突然、画面が真っ暗になり戻らない」とのこと。
念のため水の侵入の可能性についてもお伺いしましたが無さそうです。
実際に状態を確認すると
・電源は入っている、充電時の反応やタッチ操作による音もする
・液晶表示はない、ただしバックライト(液晶表示を裏から照らす照明)は点いている
といった感じ。
あまり多くない症状で、実際に分解を行い点検をしなげれば、故障箇所の特定は出来ません。
なので御客様の了承を得て、点検に入ります。
まずは薄いガラスを開いて、液晶と対面
![](https://iphone-shuuri.jp/report/wp-content/uploads/2023/03/IMG_0999-1024x768.jpg)
このモデルに限らずiPadは薄いガラスを強力な粘着テープで固定し組み立てられています。
これを割らずに開けるのは、経験を積んだ技術者にしか出来ないようで…
iPadの最短即日修理をしている業者が少ない理由でもありますね。
![](https://iphone-shuuri.jp/report/wp-content/uploads/2023/03/IMG_1001-1024x768.jpg)
そんなガラスパネルを開くと、第9世代までのスタンダードモデル共通の構造で液晶画面が現れます。
今回は液晶パネルが一番症状を表しているので新しいものに交換し動作確認を行う流れ。
![](https://iphone-shuuri.jp/report/wp-content/uploads/2023/03/IMG_1002-1024x768.jpg)
なので液晶パネルの固定具を外して半開きにすると…
巨大なバッテリーと、その横には電子基板(ロジックボード)が現れます。
例えば水没をしている場合は,この段階で腐食や水滴で判断が出来るのですが…
この端末に関しては、たしかに水没の可能性は低いですね。
液晶の状態を見てみる
![](https://iphone-shuuri.jp/report/wp-content/uploads/2023/03/IMG_1003-1024x768.jpg)
まずは安全に作業を行うために、バッテリーの導通を切ります。
液晶やタッチセンサーのコネクタを抑える金具を外し…液晶のみを摘出
状態を見てみましょう。
![](https://iphone-shuuri.jp/report/wp-content/uploads/2023/03/IMG_1005-1024x768.jpg)
通常と違う点は、液晶表面に痕があることです。
これはガラスパネルと液晶が圧力によって触れていた時間がある
または気質の変化により液晶表面が劣化している場合によく見られます。
![](https://iphone-shuuri.jp/report/wp-content/uploads/2023/03/IMG_1006-1024x768.jpg)
また液晶パネルの裏面には、コネクタカバーが接触し擦れていた痕も確認できました。
通常の使用では、ここまで他のパーツや構造体が接触した痕跡は残りません。
全体が歪むような力もしくは圧力が掛かったことを示しています。
近年のiPadでは少しの力で本体が大きく歪む症状の御相談も多く頂いています。
一見すると金属製で丈夫に見えるiPadが歪む、曲がるなんてことがあるのか?と思われる方もいるでしょう。
しかし、先程の内部画像を見ても分かるように巨大なバッテリーや電子基板を、この薄さの中に収めるには…
フレームの金属を薄く加工する必要があります。
またiPadに仕様される金属はアルミ(の中では硬い合金)
工業製品に使われる金属としては軽く加工もしやすく優秀ですが…強度、硬度の面でみると他に劣る素材と言えるでしょう。
例えば強く両端を握ったり、バッグの中に入れて他の荷物と干渉したり…
それだけでも大きく歪む代物です。
ここで心配なのは電子基板(ロジックボード)も内部で一緒に歪み、損傷すること。
なぜなら損傷した電子基板が原因で起こる症状は、パーツ交換で直せないから、です。
新しい液晶を付け、電源を入れてみる
![](https://iphone-shuuri.jp/report/wp-content/uploads/2023/03/IMG_1007-1024x768.jpg)
ここまでは、まだ色々な可能性について考えている状態です。
どこが壊れているのか?ハッキリさせるには…新しい液晶パネルを付けてみるしかありません。
新品の液晶をセットし、コネクタを接続。
安全な状態を確保しバッテリーもつなげます。
![](https://iphone-shuuri.jp/report/wp-content/uploads/2023/03/IMG_1008-1024x768.jpg)
さあ、反応はどうでしょうか。
………
…………
……………点きません。
よーく観察してみると(写真ではわかりにくいですが)
![](https://iphone-shuuri.jp/report/wp-content/uploads/2023/03/IMG_1009-1024x768.jpg)
液晶の表示領域が薄く光っているのがわかります。
これが所謂「バックライトが点いている」状態ですね。
しかし、待てど暮せどリンゴのマークや、ロック画面は表示されません。
試しに違うロットの液晶パネルを付けてみても、症状は変わらず。
![](https://iphone-shuuri.jp/report/wp-content/uploads/2023/03/IMG_1010-1024x768.jpg)
スリープを押すと、液晶パネルが光ったり消えたりを繰り返すだけです。
今回の原因は…電子基板に異常あり。
![](https://iphone-shuuri.jp/report/wp-content/uploads/2023/03/20230303035644-1024x768.jpeg)
主な症状は液晶に現れていましたが、その液晶パネルを交換しても改善が見られない場合
電子基板(ロジックボード)から映像出力信号が送られていないということになります。
バックライトが点いているので、単純な電力供給はされているようですが…
映像の信号が回路上で途絶えているのでしょう。
今回のように目立った外傷やキッカケとなる事象が無い場合は、ここまで点検を行わないと
原因がハッキリしないものが多く外から見ただけではわからないことがほとんどです。
当店スマホ修理ジャパン秋葉原店では、細部にわたって点検を行い
故障原因の可能性や、この先の対処についてより現実的なご提案を心掛けています。
適当なことを言えない性分、説明が長くなることも御座いますが…
できる限りのことを致します。