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iPhone12から現行モデルまで、互換バッテリーの現状。
- 秋葉原店 2025年8月5日 2025年11月18日 秋葉原店店長 須山よしのり
昔はよかった、iPhoneと互換バッテリーの話

6月から続く猛暑、猛暑、猛暑。
日々、細胞が溶け出しそうなほどの気温が続く昨今、話題になるのは人間の熱中症だけではありません。
そう、iPhoneやスマホが熱にやられる話がチラホラ、とワイドショーやネットニュースでも囁かれるようになりました。
我々修理スタッフからすると、興味深い内容なので見てみると
大抵「バッテリーが劣化」「バッテリーが膨張」「バッテリーが…」とバッテリー関連が主題のようです。
そうなってくると「さあ我々も出番だぞ!」と意気込みたいところ。
…なんですが、昔ほどユーザーの自由な選択が難しい世の中になりました。
iPhoneXとXS、それが始まりの合図

思い返してみると遥か昔、iPhoneXまでは互換バッテリーを使用しても大きな差はありませんでした。
(この大きな差、というのは使用時間であったり、安定性であったり、あとは設定から確認できるステータスであったりの要素)
ですがある日突然現れたのは、iPhoneXSに互換バッテリーを使用すると「最大容量」のステータスが表記されない事実。
実際、その後の検証で使用時間や安定性に問題がない、ということが分かったので、まだ大きな障壁とは言えず。
御客様にしっかりと説明をして、承諾を得るプロセスを大切にすることで円滑なやり取りを実現できました。
でも思えば、このときから始まっていたんです。
iPhone11シリーズまでは同じ状況で、iPhone12から話が変わった

そこからは互換バッテリーの検証時間が勤務時間の殆どを占めるようになりました。
iPhone11シリーズでは、どうなるか。また仕様が特殊なiPhone11Proや11ProMAXではどうなのか。
結果としては互換バッテリーの製造ロットを変えたり、また製造元や仕入元を変えながら解決してきました。
そんなこんなしていると、分かってくることがあります。
それが「パーツペアリング」です。
どうもiPhoneは出荷時にパーツとソフトウェアでペアリング(接続認証)が行われた状態でユーザーの手元に届くということと、それが可視化されている(ソフトウェア上で確認できる)ということ。
つまりiPhoneXSのころ、互換バッテリーでステータスが表示されない状況になったのは出荷時のバッテリーとは違うバッテリーに変わったことが原因で…
これは仮に新しく取り付けたものが純正バッテリー(中古)だったとしても結果は変わらないということでした。
「互換品だから正しく表記されない、ってことじゃないんだ…」
このときの気持ちは今でも覚えています。
大げさにいえば、遠のく安堵と静かな絶望といいますか、原因は見つかったけれど解決できない、そんな気持ち。
とはいえ残酷にも時間は進みます、となればiPhoneも次々と新しくなっていきます。
それから、iPhone12になって

正確にはiOS15.2になって、といったほうが正しいかもしれません。
部品と修理の履歴が、iPhoneの設定から確認できるようになりました。
参考リンク(Apple公式ページ)https://support.apple.com/ja-jp/102658
もちろん、ここでも互換バッテリーに交換した場合の表記は従来(最大容量:-)と変わらず。
さらに加えて「部品と修理の履歴」には「不明な部品」という文言が残ります。
これがユーザーと我々を戸惑わせました。
今までは、互換であろうが純正(中古)であろうが変わっていたステータスが…より明確に区分けされ
ほぼ確実にiPhone本体が「互換バッテリーであると認識」している場合のみ不明な部品と表示されるようになったから、です。
また現実的な懸念点として、浮かび上がったのがパフォーマンスの変化。
ちょうど世界規模のコロナ禍で半導体を含む製造系すべてが大きなダメージを受けていたころ、というのもあって品質の低下が起きやすく安定した数の入荷も難しい時期だったというのも、要因の一つかもしれません。
iPhone13 14 15…進む新型、留まる修理屋

そこからは更に孤軍奮闘の日々です。
いろいろなところから様々な互換バッテリーを仕入れ検証し、その時点で可能な限り良い結果を残すものだけを提供する。
そして、いざ提供するとなれば価格の問題なども山積みになっていきます。
安かろう悪かろうだけは、避けたい。
でも「不明な部品」しか付けられない。
その時点で、御客様からすれば「悪かろう」なのではないか。
とにかく調べ、試し、できることは何でもやりました。
その中で現実的で安全な方法、見た目だけを良くするでもなく、より確実な方法を模索してきました。
その結果、御客様のご要望に応えられない期間も長くなってしまいました。
今までで最大の結果を残したバッテリーを少数入荷しました

今に至るまで「不明な部品」の表記については解決していません。
これはソフトウェアに新しいパーツを登録する術がない、または登録ができても弾かれてしまうため、です。
厳密に言えば、方法次第で見た目(表記)だけは取り繕うこともできるかも、しれません。
でもユーザーが求めているのは現実的な安定性だと感じます。
そこで秋葉原店では、安定したパフォーマンスを発揮するバッテリーを少数ご用意しました。
ご希望の方は事前にお問い合わせをお願い致します。


