-
iOS15.2では故人の所有していたiPhoneのアカウント管理が可能に。
- 秋葉原店 2021年12月14日 2021年12月14日 秋葉原店店長 須山よしのり

修理店へのご相談が多い内容でもある
iPhoneはスマートフォンの中でも、高レベルの個人情報管理を謳う端末です。
日本でのシェア率が高いのも、秘密は無くとも個人情報は守りたいという面で有利なことも要因の一つでしょう。
通常使用の際にも
・パスコードロック
・生体認証
この2つは絶対的な権限を持っていますし
不正な手段で初期化やデータ消去が行われてしまった際にも
・AppleIDによるアクティベーションロック
など、様々な方法で所有者以外のユーザーを弾き出すシステムが組み込まれています。
(場合によっては、所有者ですら突破できないほどの)
そんな中で、近年話題になっているのはiPhoneの所有者が亡くなった場合の対処です。
所有者が故人となった場合も、iPhoneのデータは守られる。
今までは、所有者が故人になった場合も一貫して
「ユーザーのプライバシーに関する情報を無作為に開示しない」
というポリシーがありました。
もちろん、一定条件を満たせば可能な場合もあるそうですが、Appleの立場としては
「どのような場合においてもユーザーの個人情報は守る」
というのが一番重要で、それが故人の親族であったとしても故人の意思を尊重し、その意向が汲み取れない以上は何もしない。といったところでしょうか。
とにかく、所有者の権利は絶対なので公的書類も無しにロックは解除出来ませんでした。
ですが、実際に修理店をやっていると年に数回は
「故人のiPhoneのロックを解除出来ないか」
と事情は様々でも、そういった御相談を頂くことは少なくありません。
どのように言っても返答に困る、というか、心苦しい内容に言葉を見つけられないばかりです。
それに、中には
「ネットにあるツールを使ってみようとしたけど…」
と、藁にもすがる思いで「iPhone 画面ロック 解除」で検索した怪しい日本語のツールを試す方も多く…
詐欺などの二次被害も懸念されるため、なるべく慎重に「難しいことなんです」とご理解頂かなければいけませんでした。
今回のiOS15.2に含まれる「故人アカウント管理連絡先」とは
また昨今では時勢の影響か、自身に不幸が訪れたときの対処法について考える方も増えてきたのだと思います。
そこでAppleは今回のiOS15.2の機能に「故人アカウント管理連絡先」を追加しました。
これは
ユーザーが自分の死後に、自分のアカウントにアクセス出来る人物を指定する
というもので、含まれるデータは
・写真
・メッセージ
・メモ
・ファイル
・ダウンロードしたアプリ
・デバイスのバックアップデータ
と、思い出や重要な情報には殆どの場合でアクセス出来ます。
ただし
・AppleIDで管理された購入データ
・キーチェーンで管理しているパスワード
など端末以外で故人が取得した所有権のあるもの、または権利の侵害になる可能性があるものにはアクセスできません。
心無い人間の不正利用や、権利侵害にも配慮した形になっています。
もちろん条件はある
とはいえ、だれでも簡単にアクセスできるようにはなりません。
まず前提として
・iOS15.2(iPadOS15.2)またはMacOS12.1以降が導入されている
・そのiPhoneもしくはiPadで故人アカウント管理連絡先の設定がされている
・2ファクタ認証が有効になっている
・対象地域の年齢制限を越えている
これが絶対条件です。
なのですでに故人となっているユーザーのアカウントにアクセスすることは、従来と同じで原則不可能です。
また、設定を行う工程も
1.設定から自分のユーザー名をタップ
2.パスワードとセキュリティをタップ
3.故人アカウント管理連絡先をタップ
4.故人アカウント管理連絡先を追加をタップ(パスコードを入力)
5.対象ユーザーを選択(ユーザー共有を設定していない場合は、ほかの人を選択)
6.発行された「アクセスキー」を共有する
これが最初の大まかな流れです。
なお、最後に発行された「アクセスキー」を受け取る故人アカウント管理連絡先に指定できるのは
・Appleデバイス
・最新のiOS15.2搭載であること(古いデバイスでもアクセスキーを受け取ることは出来てもアップデートが必要になる)
などの条件を満たしている必要があります。
(故人アカウントへのアクセス自体はどのデバイスからでも可能です)
上記は直接アクセスキーをデバイス間で共有する際の注意点であり、仮に条件から外れている場合も
・プリントして渡す
・PDFやスクリーンショットをして渡す
など物理的にアクセスキーを共有することも可能ですが、あまり現実的ではないので、あくまで緊急時の備えとしておきましょう。
このように若干、複雑になっているのも…
不定の関係である相手にアクセスキーを気軽に発行しないようにするための対策と言えるでしょう
不幸があったときに管理連絡先に指定された人がやること
そして、もし不幸が起きたときに故人アカウント管理連絡先に指定されたユーザーが用意する内容は
・故人より受け取ったアクセスキー
・故人の死亡証明書(PDFなどのデジタル化されたもの)
この2つを用意して、Appleへアクセス申請を送ります。
先程、書いた内容のようにiOS15.2以降を搭載したAppleデバイスでアクセスキーを受け取った場合は、故人アカウント管理連絡先に指定されたAppleIDの中にアクセスキーが収納されています。
そのためアクセス申請も
1.設定をタップし、アカウント名をタップ
2.パスワードとセキュリティをタップ
3.故人アカウント管理連絡先をタップ
4.故人のアカウントが表示されるので、選択
5.「アクセスを要求」をタップし、所定の手続きを行う
この工程で、申請は完了します。
そして申請が通った時点で「特別なAppleID」が発行され、それを介して故人のデータにアクセスが可能となります。
もしお使いの端末や、使用方法が異なる場合は下に公式のページへのリンクを貼っておきますので参考にしてみてください。
https://support.apple.com/ja-jp/HT212361

