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【水没】実は濡れたままの方が復旧率は上がる!?
- 渋谷店 2020-02-01 2020-05-08 スマホ修理ジャパン代表 中嶋拓也
【はじめに】
まず初めに前提として「濡れたままの状態で充電など電流を流さないこと」が重要です!
人間でも水の中で電流を流せば感電します。
これがiPhoneなどの精密機器にも同じことが起こり、基盤がショートしてしまう恐れが御座います。
電流を流さないことと同時に速やかに修理店へご来店頂くことが大事になってきます。
それが今回「濡れたままの方が復旧率が上がる!?」に繋がっていきます。
「水分中の『カルキ』が大敵」
カルキとは、水道水やプールの殺菌・消毒に使用されている次亜塩素酸カルシウム のことを言います。
水道水ではさほど気にならないのですがプールでの独特な臭いはこのカルキの消毒によるものです。
キッチンなどの水回りで白い塊のようなものが発生することがありますが、
これはカルキが乾いたことにより発生したもので、本来は水垢と呼ばれています。
この水垢がiPadなどの精密機器に大きなダメージを与えることがあるのです。
通電の妨げや基盤の上に付いているICチップの損傷などにダメージを与えてしまい、
液晶が映らない、起動しない等の不具合を起こす原因の一つとなってきます。
海などでの水没の際は塩水が乾き塩の塊が大きなダメージを与えてしまいます。
「乾くことで症状が悪化してしまうことも」
上記の通り乾かすことによって発生した物質が基盤に悪影響を及ぼすことになる為、
乾く前に対処した方が基盤に与えるダメージは少ないと考えられています。
とはいえ、水没は予期せぬトラブル。
冷静に判断が付かなくなるほどパニックになってしまうものです。
水没してしまった際はまず「電流を止める」を心がけて下さい。
「速やかに修理屋へ」
水没してしまったらすぐに乾かすという情報が出ていますが、
経験上あまり意味はありません。
というのも前出した通り乾かすことによって症状が悪化してしまうケースも多く。
基本スマホは外部から水分を侵入させないような構造になっています。
逆に考えれると侵入した水分は外に逃げにくい構造となっているという事です。
ドライヤーや自然乾燥でも殆どの場合完全に水分が抜けることは稀です。
そのうえドライヤーなどの風によって中の水分を広げてしまうため、本来水が浸入していない部分にも侵入させてしまっているのです!
修理店であれば端末内部から水分の除去、カルキを抜く特殊洗浄が可能です。
この特殊洗浄が端末が乾く前と乾いた後で作業の効率が変わってきます。
乾く前であれば水分を除去して特殊洗浄を施す流れが乾いた後になってしまうと、
発生した水垢などの物質を取り除く工程が追加してきます。
物理的に基盤を磨かなくてはいけない症状もある為、基盤への負担が濡れたままの状態よりも掛かってきます。
「結論。濡れたままの方が復旧率は上がる」
これは作業が効率よく進むため早急な対応が出来ることから、復旧率は上がると思います。
ただし、すべての水没が同じ症状では無い為復旧率は上がるものの修理が出来るかは別のお話となります。
また、たとえ乾かしてしまったからと言って修理が出来ない訳でもございません。
どんな状態でも当店は出来る限りご対応させて頂きます。
「iPadAir水没修理」
さて、ここからは実際にどのような状態でお客様が端末をお持ちになるかご紹介いたします。
端末はiPadAir(初代)
型番 A1474/A1475
症状 水没による起動不可の状態
水没させてから全く起動しなくなってしまったとの事でご来店。
水没直後に当店へご相談いただき、そのままの状態ですぐに持って来て頂きました。
その為まだ中には水分が残っている状態です。
液晶パネルの周りにも水分が付着しており、液晶も故障しているのではないかと予測します。
液晶パネルを外した状態。
パネルの下にも満遍なく水分が侵入しておりました。
バッテリーも水に濡れてしまうと、たとえ使用出来たとしても今後危険な状態になる可能性が高い為、
安全第一で新しいものに交換させて頂いております。
そして、現状溜まっている水分をまずは綺麗に除去し、基盤の確認をします。
※この段階でも電源を入れてしまうのは大変危険です。
基盤を開けた状態。
基盤の中にも水分は残っていました。
この部分が乾きにくい為、ドライヤーや自然乾燥でも完全には蒸発しないんです。
よーく見るとチップが腐食しカルキによる白い水垢が発生しています。
これらの不純物を特殊な洗浄液に浸けて浮かし綺麗に取り除いていきます。
この作業に2時間~症状が重度だと1~2日掛けて取り除きます。
今回は腐食や錆が発せしており、力任せに磨いていくと基盤にダメージが入る為、
少しづつ慎重に取り除いていきました。
作業は1日掛かりある程度腐食、錆、水垢は取れたので、
ここでバッテリーと液晶パネルを新しいものに変えて一度起動するか試してみます。
起動に成功!!
ただし動作に誤作動が生じていた為、デジタイザー(タッチパネル)の交換も必要と判断して新しいデジタイザーに交換したところ、
無事に動作が安定致しました。
修理箇所が多数となってしまいましたが、お客様が一番気にしていたデータが残っていたのでお客様は大変喜んでおりました。
「水没は症状が様々。実際に修理してみないと分からない」
今回は直ったケースでご案内させて頂きましたが、残念ながら実際には直らないケースも御座います。
少し水に浸かっただけでも破損個所によっては致命傷になることも。
その為、実際には修理してみないと分からないのが現状です。
ご相談、お見積もり、点検など随時ご対応しておりますのでお気軽にご相談いただければ修理可能かそうでないかの判断をさせて頂きます。
データのバックアップをしていない、取り出したいデータがあるなどのご要望を出来る限り当店でご対応させて頂きます。
水没トラブルでお悩みのお客様は当店へお問い合わせくださいませ。
今回はこの辺で失礼致します。
有難う御座いました。