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iPhoneにUSB-Cが搭載される?修理屋さんから見たメリットとデメリット

秋葉原店 2022-10-07 2022-10-07 秋葉原店店長 須山よしのり
iPhoneにUSB-Cが搭載される?修理屋さんから見たメリットとデメリット

LightningよりもUSB-Cが優秀?本気ですか?


iPhoneにUSB-Cが搭載される?
新型iPhone14の発売時にボチボチ囁かれていた
「USB-C搭載iPhoneはまだか」という声。
実際、お客様との会話の中でも「USB-Cじゃないから見送る」という方も少なくありません。
しかし修理店のスタッフとしては「それはそれで、デメリットもあるしなあ」と思うところがあります。
もちろん、修理するお店で壊れたものばかり見ていると、どうしてもデメリットが目立つ部分もありますが…
本当にLightning規格よりもUSB-Cのほうが優秀で待ち望むべきものなのか。
疑問も多いので、今回はメリット・デメリットを交えて書いていきたいと思います。
 

USB-Cが待ち望まれている理由もわかります。


そもそもUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)と名前にもあるように、USB-Cは「ユニバーサル規格」です。
簡単にいえば、ある程度どんなものにも適合するための規格。
多種多様、様々なブランドで製造される製品でも、この規格を採用していれば使えるよー
ということですね。
今回に限っていえば「充電」「データ転送」「オプションの接続」などに使える規格として
現行のスマートフォンや電子機器のほとんどでUSB-Cが採用されています。
汎用性に優れている分、USB-Cに対応している製品も多く採用製品が多いほど
世の中に出回る関連機器の値段もケーブル単体で見ればリーズナブル。
(その分、粗悪品やユーザーが細かな違いを理解できない場合もあります。この点は後述します)
また様々な機器をケーブル1本で充電出来る、となるとデスクや環境の整備にも役立つ面があります。
ガラケー過渡期の「Docomoの人、充電器貸して!」なんて不便も遥か昔の笑い話ですね。
そう考えると、iPod初期のFirewireに端を発し、30pinドック規格、Lightning規格と…
準独自規格、完全独自規格を採用し続けるApple製品がここまで普及する世の中になるとは思いもしませんでした。
 

Appleの独自規格LightningがiPhoneに採用され10年



私もすっかり忘れていました。
iPhoneにLightningが搭載されて10年の月日が経っていることを。
Lightningの歴史は、USB-Cよりも古く、また当時としては革新的でした。
無線接続やUSB-Cが普及した現在では見かけない話になってきましたが…
「裏表どちらでも端子に挿さる」
これだけでも非常に話題になりました。
2012年当時USB-Cはありませんし、もちろん30pinドックコネクタも含め
平型の端子は基本すべて裏と表があり、正しい面でしか挿せないものでした。
「あれ、こっち?あ、いやコッチか…いや最初ので合ってた…」
と、USB接続や充電のたびにマゴマゴしたものです。
そのためにUSB-Cの前世代規格USB-MicroBは端子の形を台形として指向性が分かりやすく工夫されていましたね。
そんな中で「どっちでも挿せるよ!」というLightning規格は非常に魅力的で
かつ独自規格でありながらサードパーティ製の対応機器も幅広く展開され
iPhoneを中心としたオプション品だけで企業が成り立つ世の中にもなりました。
USB-TypeCの普及は、そこから2年ほど経った頃です。
 

もちろんLightning端子にもデメリットはある。



そんな登場から10年経つLightning端子ですが、愛され続けてきたわけではありません。
かつての30pinドックコネクタは基本的に、どのメーカーが作ったものでも
iPodやiPhoneの充電、ものによってはデータ転送が可能で、模倣品も沢山出回りました。
もともとが比較的高価な製品なのでアクセサリは安く手に入れたいという消費者心理もありますし
少し特殊な使用法を用いて、オーディオファンにも愛された規格です。
しかしLightning規格ではコネクタ部分に含まれる「認証チップ」によって
Apple純正もしくは認証品(MFi)のみでしか充電やその他の動作を制限される事となり
安物のケーブルではiOSの更新のたびにアクセサリそのものが使用できなくなる事例も出てきます。
また消耗品としては高価なApple純正品のケーブルは設計面で(特にケーブルの根本が)破けやすく、シリコンの皮膜は簡単に黄ばんでしまいます。
仮に耐久面をクリアした認証品でも、価格の面ではあまり安価とはいえずランニングコストがユーザーの悩みの種にもなりました。
また近年ではApple製品に有りがちなLightning以外の独自規格からUSB-Cでの充電に切り替えた製品も目立ってきました。
MacBookを始めiPad Pro/Air/miniも最新の製品ではUSB-Cを導入し、Apple=独自規格の存在感を薄めています。
そうなると、Apple製品をこよなく愛する人達も「ケーブルが数種類あって混乱する」となるのは道理でしょう。
 

Lightning規格の一番の欠点は、データ転送速度?



またUSB-Cへの変更を望む方の意見の中には「Lightningはデータ転送速度が遅い」というものも散見されます。
皆さんが何気なく使っているUSB端子、もしくはケーブルには世代や規格が存在し「データ転送量」「充電量」などの違いがあります。
現在、主流のものは「USB3.1」または「USB3.0」という世代のもので
USB初期から現在にいたるまで、2回ほど世代が更新されています。
でも全くそのことを知らずに、USBはUSBとして使用してきた方がほとんどですよね。
それもそのはず「USB3.0は前世代のUSB1.1やUSB2.0と互換性がある」ことが条件となっているから。
つまり何気なく、知らなくても使えるように仕様変更が行われてきました。
しかし気がつかないだけで、データ転送速度は如実に変わっています。
例えばUSB1.1で一秒間に12MB(メガバイト)のデータしか送れなかったのに対し
USB2.0では一秒間に480MBのデータを相互通信で送ることができます。
理論上、何十倍のデータが送れる規格に進化していますよね。
そしてUSB3.0で一秒間に5GB(ギガバイト)のデータ転送量
USB3.1では一秒間に10GBと理論値とは言えかなりの速度でデータ転送が可能です。
ではLightningはUSB規格でいうと、どの世代に属するか?というと…
基本的にはUSB2.0準拠です。
…10年前なら、これでもデータ転送速度に不満はなかったでしょう。
しかしiPhoneで扱えるデータの容量は年々増えてきています。
アップデートプログラムだけでも5GBをゆうに超え、写真や動画のデータも高性能カメラのお陰で非常に重いものとなっています。
iPadの一部機種ではLightningを使用した場合もUSB3.0準拠のデータ転送速度を実現しているようですが
iPhoneにシネマティックモードを搭載して、動画やクリエイティブな制作体験をユーザーに提供する割には…
重いデータの管理、有線での送信に関しては非常に前進的な規格を採用し続けている点に不満を持つユーザーが少なからず存在しているのも納得できますよね。
だって「良い映像が撮れたぞ!パソコンで編集しよう!」と思った時に「何時間待てばいいんだろう…」というのは思い通りにならない不快感を抱くことですから。
 

耐久性で優位にあるのは…



ここまではネットで検索をかければわかること。
ここからは修理屋さんの観点で「耐久性」についてお話をしようと思います。
修理屋さんでは壊れたり不具合を抱えた端末を多く拝見します。
その中にはもちろん、充電端子の不具合も含まれます。
実際にご相談を受けてきた中で、修理屋スタッフのいち意見として書くとすれば…
Lightning端子は非常に優秀だ、ということですね。
まず物理的に従来の30pinコネクタUSB-Cの24pinに比べLightning端子は8pin
端子の数が極端に少ないもので…接点の数が多いものほど、ホコリや汚れの影響を受けやすく破損のリスクを避けられます。
また構造上の優位点として、抜き差しによる劣化や摩耗に強い点も挙げられます。

USB-Cでは差込口の中心に、平板を設置し、その両面に接点を設けることで両面で充電が可能となっています。
よく見られる症状として、中心の平板が折れてしまう、隙間が小さくホコリが入り込むと出ていかない。
粗悪品のケーブルを差すと簡単に端子を傷付け壊れてしまう。
接点の数が多く、ショートや水分に弱く、一点でも壊れると致命的な充電不良が起きやすい、などが挙げられます。

Lightningでは差込口の穴の片側に接点を配置し、ケーブル端子を両面外側に設置することで充電を可能にし
また差込口が大きく口を開けているので、ホコリが入っても摘出が可能です。
もちろんサイズの合わない非純正端子を使っていると差込口の嵌合がゆるくなることも散見されますが…
逆に言えば無頓着なユーザーが適当なケーブルを使ってもある程度耐えてくれる点において優秀です。
…じつはこの「無頓着なユーザーが適当なケーブルを使っても」という点が、耐久性の一番のポイントになると考えています。
殆どの人間がスマートフォンを所有している昨今において、iPhoneは「誰でも使える端末」として
ポピュラーかつベーシックな選択肢として認知されていると思います。
それだけによくわからずに使っている方も多く、相談の中で恐れ多くもアドバイスを求められる機会も少なくありません。
中でも充電関連のケーブル選びや、方法、抜き差しの作法まで、様々な疑問を投げ掛けられるたびに
「万人が万人、正しい方法を知っているわけではない」と感じさせられますし、それを知っているか否かで端末の寿命は大きく変化していくと考えています。
実際に先んじてUSB-Cが搭載されたiPad Proの不具合のご相談内容で多いものが
「充電端子がおかしい」というもので、これもUSB-Cに慣れていないユーザーの使い方が一因の場合も正直、無くはないという印象です。
充電やデータ転送のように、毎日行う動作だからこそ、何気なくやっていることが致命傷につながることがある、一番身近な精密機器iPhoneやiPad
皆さんは今回のお話についてどう思われますか?
 
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